1、「リューベパーアワー」って何語?

 
 私が流量計の業界で最初に戸惑ったのが、「このサイズなら何リューベパーアワーまで測れます」という言葉でした。「はてこれは何語だろう?」と英和辞典や独和辞典を調べましたが、それらしい言葉は見付かりません。カタログを見ているうちに、これはm3/h、すなわち毎時立方メートルのことだと気付きました。メートルは昔は漢字で米突、後に米と表記するようになりましたから、m3は立米でリュウベイ。それに/hourの英語読みを加えて、リューベパーアワーとなった次第です。こんなこと新人が知るわけもないでしょう(^^)


 この他にも客先から「口径はサンブだけど接続はエヌピーティー・ヨンブのメスにしといて。あ、それから出力はいつものヨン・ニジュウね」などと声を掛けられて何を頼まれたか分かりますか?私は後半は分かりましたが、前半は??でした。これを読み解くと「メータの口径は呼び径3/8インチだけれど、配管との接続口は少し大きいNPT 1/2B Female(アメリカ規格の1/2インチ・テーパー雌ねじ)。電気信号出力は4-20mAの2線式直流電流信号にしてね」と頼まれたのです。これらを間違えたら大変な騒ぎになります。



 最初は目をパチクリかもしれませんが、すぐに慣れます。慣れる期間を少しでも縮めるお手伝いをするのがこの講座の狙いです



2.流路は何故丸い?

 
 流路の断面は何故真円かご存知ですか?
 
 用水・下水用の開渠や空調用のエアーダクトなど少数の例外はありますが、ほとんどの流れは真円断面の管路を一様に満たして流れます。丸パイプが使われる理由は経済的で、かつ設置工事が楽だからです。一定の周辺長さに対し円が断面積最大となることは、数学の「等周問題」として知られています。

 コンパクトにまとまるよう平らに潰れた断面の散水ホースも、水圧が掛かると丸く膨らむでしょう。このように内部に圧力が掛かる場合、丸パイプに流すのが自然なのです。

 丸パイプは中心軸対照ですから、途中で斜めに流路を曲げるのが容易です。四角や六角では曲げられる角度ガ限定されます。


3.パージメータとは?

 
 小流量の面積流量計は別名「パージメータ」と呼ばれます。
 purgeとは「何かを一掃する」ことで、腐食性ガスなどから計器や機器を保護するため、連続的に空気を送り込むことをパージすると言います。その流量を監視するするため安価な面積流量計が用いられ、パージメータという呼称が一般化しました。

 パージメータはガラステーパ管内のフロートで流量を現場指示するのが本来の目的なので、発信機付きや金属テーパ管などは除外されるべきですが、「小流量面積流量計」はすべてパージメータという分類に入れる例も多いのです。

 パージメータは雰囲気の保護だけではなく、気体・液体・冷却水・潤滑油などの連続供給や、気泡式レベル計にも用いられます。

 余談ですが、米ソ冷戦時代には共産党員を職場から追放する「レッドパージ」が猛威を振るいました。



4.工業計器の電源電圧

 
 工業計器の交流電源は一般家庭用と同じAC100V(AC:交流 Alternating Current)が一般的ですが、近年日本の製品が海外で使われるようになり、AC100〜249V、59/60Hz仕様のユニバーサル電源が増えました。これは受電した交流を直流に変え、電源ユニット内の電子回路で計器の必要とする電源に作り変えるものです。コストは掛かりますが、電圧の異なる多くの製品を揃える必要がありません。

 直流電源はDC24V(直流:Direct Current)が一般的です。停電事故などの際、プラント(工場設備)が安全に停止するまで計器は作動する必要があり、バッテリでバックアップしています。鉛バッテリ1セルの電圧は約2Vで、これを6個直列にした12Vバッテリが自動車用に普及しています。これをさらに2個直列にすれば24Vとなります。

 電気を送るにはなるべく高電圧、低電流にした方が途中の電力ロスが少なくてよいのですが、人体に対する感電事故の危険が高まります。安全な電圧の限界は国により異なりますが、日本の電気事業法では「電圧30V 未満の電気的設備」は、特に危険の低い電圧として電気工作物の定義から除かれています。要するにDC24Vは扱いやすい電圧なのです。

 なお、自動車用バッテリとバックアップ用バッテリは特性が異なります。


5.2線式DC4-20mA出力

 
 計測器のアナログ出力はDC4-20mAが一般的です。これは測定範囲の0%を4mA、100%を20mAに対応させたもので、0〜100mL/minの流量も-50〜+200℃の温度も、すべて同じようにDC4-20mAの統一信号として送ります。受信計器は信号電流を250Ωの抵抗に流し、1〜5Vの電圧に変換して利用します。信号が統一されれば受信計器も種類が減り計装が楽になります。

 伝送信号が電圧ではなく電流なのは、信号を送る電線の抵抗による精度低下がないからです。電流信号は定電流源から送り出され、途中の線路抵抗が変わっても電流の値は変わりません。すなわち線路抵抗による精度劣化がありません。ただし、抵抗値には上限があり、許容負荷抵抗(線路抵抗+受信抵抗):0〜600Ωなどと規定されています。

 変換器と受信計器の間には、信号のプラスマイナスで2本、それと電源のプラスマイナスで2本、計4本の電線が必要です。この内信号と電源のマイナス側を共通にすれば計3本で済みますが、これをさらに一本減らしたのが2線式です。これは電源、変換器、受信抵抗を一つのループとして結線し、電源と受信抵抗のマイナス側を一緒に接地します。信号線の整理とコスト低減に有用なシステムですが、電源は他のループと相互干渉せぬよう。、個別に供給する必要があります。


6.オープンコレクタ出力

 
 警報やパルスなどの信号を特定の電圧・電流によらず、NPNトランジスタのコレクタの状態で表すこと。

 コレクタは出力端子につながれ、常時開放状態(オープン)になっています。トランジスタに信号が入るとコレクタは開放状態から接地状態に変化し、出力端子に電流が流れます。つまり、トランジスタがスイッチのように働くのです。

 出力端子に接続できる負荷は、「DC5〜30V、150mA以下」などと制約があり、大きな負荷をつなぐ際は後段にリレーが必要です。

詳細はWikipedea参照 


7.ローカットオフ機能

 
 発信器付き流量計の出力信号は、流量がゼロになれば停止状態になる筈ですが、配管内の流体の揺れや電気ノイズのため、不規則な信号が出ることがあります。

 これは流量積算値を狂わせるので、一定以下の流量信号を強制的にゼロにするのがこの機能です。ゼロになる点は通常フルスケールの0〜10%の範囲で任意に設定できます。


8.○○・・加筆中